描き方講座 イラスト制作

机と椅子の描き方講座【CLIP STUDIO PAINT】

2025年1月24日

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机と椅子

この記事では机と椅子(デスク)の描き方を解説します。

家具の描き方まとめ

CLIP STUDIO PAINT

本解説の使用ソフトは『CLIP STUDIO PAINT PRO』です。
※買い切り版でも大きな機能アップデート時には優待価格でアップデート可能なので長く使うなら「無期限版(一括払い)」がお得です!

ブラシ&CLIP/PSDファイル

本解説で使用するブラシとイラストのレイヤー未統合データは以下からダウンロードできます。

机の描き方

今回、机と椅子のデザインは以下の写真を参考にします。

机の資料

1. パースを設定する

まずはじめにパースを設定する必要がありますが、ここでは以下の記事で設定した部屋の大枠のパースを使います。

具体的なパースの設定方法は「STEP1 パースの設定」の章を参照してください。

部屋の大枠のパースとグリッドを使って、机の位置と大きさを決めます。

机の配置

また今回は窓から入る光を光源とします。

窓を光源としたときの考え方は以下を参照してください。
>> 背景の描き方講座<室内編>「STEP3 ③フォームシャドウ」

2. 形を取る(レイヤー分け)

次に机の各パーツを面ごとにレイヤー分けします。

机のパーツ分け
レイヤー構造については未統合データを参考にしてください。

色はあとで付けるので、ここではレイヤーが判別しやすければどんな色を使ってもOKです。

レイヤーは「透明ピクセルをロック」して色がはみ出さないようにしておきます。

あんよ
あんよ

パーツ分けは面ごとにきちんと分けた方が後の処理がしやすく修正も楽になります。

3. 色と陰影を付ける

レイヤー分けができたら、以下の順番で色と陰影を付けていきます。

  • 固有色
  • オクルージョンシャドウ
  • フォームシャドウ
  • キャストシャドウ
  • 明部、ハイライト
  • 反射光
  • 質感

各用語について詳しくは以下の記事を参照してください。

① 固有色

まず固有色を置きます。

机の固有色
あんよ
あんよ

固有色の選び方のコツはこちらを参考にしてください。

② オクルージョンシャドウ

ここからはかげを付けていきますが、乗算レイヤーと以下のかげ色を使います。

かげ色のHSV

固有色レイヤーの上に乗算レイヤーを作成してクリッピングし、まずオクルージョンシャドウを置きます。

手順としては、「C油彩」を使ってかげを描いたあとに「ぼかし」を使って輪郭をぼかし、乗算レイヤーの不透明度を下げてかげの濃さを調整します。

机のオクルージョンシャドウ
あんよ
あんよ

オクルージョンシャドウはパーツ同士が接する箇所に入れます。小さい領域でも入れた方がリアリティが出ます。

③ フォームシャドウ

フォームシャドウを付けるときは、物体の各面に光源からの光がどのくらい当たるかを考えるのがポイントです。

今回の机には太陽からの直進光は当たらないので、窓を面光源とみなして散乱光が各面にどう当たるかを考えます。

まず天板の部分からみていきますが、窓に対して背を向けている部分が最も暗くなります。

机のフォームシャドウ
固有色レイヤーにクリッピングした乗算レイヤーにかげ色をベタ塗りでのせました。

残りの2つの面に関しては光源に対してどちらが明るくなるかわかりにくいところです。こういったときには以下のように光源からの光が物体の面となす角度をみてあげると、どちらが明るくなるか推測することができます。

机のフォームシャドウ
側面の方が角度が浅いので明るくなることが推測できます。

この2つの面はどちらも光源側を向いている面なので、ここでは上面にかげ色をのせるのではなくあとで側面に明部色をのせることでフォームを表現します。

脚の部分に関しても同様にしてフォームシャドウを付けました。

机のフォームシャドウ

④ キャストシャドウ

次にキャストシャドウですが、この机においては直進光によってできるキャストシャドウはないので、散乱光によってできるキャストシャドウを考えます。

下の写真にも見られますが、光源が複数ある場合にはキャストシャドウの中に別のキャストシャドウができます。

影の中の影
あんよ
あんよ

面光源によってできるキャストシャドウもパースをとって描くことはできるのですが、かなり面倒なのと面光源によるキャストシャドウの輪郭はかなりぼけるので感覚で描いてOKです。

もしも目安がほしい場合には、以下のように面光源の中心を光源の消失点としてガイドを引くのもひとつの手です。

面光源によるキャストシャドウのガイド

今回は以下のようなキャストシャドウを付けました。

手順としては、「C油彩」を使って乗算レイヤーにかげ色でキャストシャドウを描いたあとに、「ぼかし」で輪郭をぼかしてレイヤーの不透明度を調整します。

机のキャストシャドウ

⑤ 明部、ハイライト

かげを付け終えたら明部とハイライトを入れます。

ここでは以下の明部色を使います。

明部色のHSV

まず明部として天板と脚の側面部に明部色をおき、天板の上面にも光源側にわずかに明部色をのせてフォールオフを表現します。

手順としては、覆い焼き(発光)レイヤーに「不透明水彩」を使って軽いタッチで明部色をのせ、「ぼかし」で筆跡をぼかします。

机の明部

そしてハイライト(エッジライト)として、面同士の縁の部分に「C油彩」で明部色を入れます。

机のハイライト
あんよ
あんよ

ハイライトは見栄えがグッと良くなる要素なので面倒がらずにきちんと入れるようにしましょう。

⑥ 反射光

明暗を付け終わったので次に反射光を入れます。

今回は脚の部分に床からの反射光を、床の色を少し明るくした以下の色を使って入れます。

反射色のHSV

オーバーレイレイヤーに「不透明水彩」を使って反射色をのせ、筆跡を「ぼかし」でぼかしたらレイヤーの不透明度を調整します。

机の反射光

また今回壁が白色で反射光の影響を受けやすいので、机から壁への反射光も入れました。

机の反射光

⑦ 質感

最後に質感を加えます。

まず木材の部分は、固有色に対して少し暗い色と少し明るい色の2色を使って木目を描きます。

天板の質感
ブラシは「油彩平筆」を使いました。
あんよ
あんよ

質感は固有色のレイヤーに直接描くか、固有色レイヤーのすぐ真上に通常レイヤーを作成して描くようにしてください(これまでの合成レイヤーの影響を質感にも反映させるため)。

脚の部分も、固有色に対して少し暗い色と少し明るい色の2色で「不透明水彩」と「ぼかし」を使ってわずかにグラデーションを入れました。

脚の質感

以上で机は完成です。

椅子の描き方

1. パースを設定する

今回椅子については部屋のパースから少し回転させたものにしようと思うので、椅子用のパース設定から行います。

ここではクリスタの3Dを使った設定手法を説明するので、部屋のパース設定がまだの方は事前に以下を参照してください。
>> 背景の描き方講座<室内編>「STEP1 パースの設定」

部屋の大枠のパースを作成した立方体の3Dを複製してカメラを動かします。

椅子のパース設定
この手法を使うことで、部屋と同じ画角を保ったまま簡単に左右の消失点を動かすことができます。
あんよ
あんよ

動かしたあとのアイレベルが元の部屋のアイレベルと重なるように回転させるのがポイントです。

パースが設定できたら椅子の位置と大きさを決めます。回転させたパースのグリッドの長さは元のパースと同じになっているので、それを基準に大きさを測ることができます。

今回は以下の位置と大きさで椅子を描いていきます。

椅子の位置と大きさ

2. 形を取る(レイヤー分け)

椅子の各パーツを面ごとにレイヤー分けします。

まず座面と背もたれ部分を「マジックペン」と「バケツツール」を使って以下のようにレイヤー分けしました。

座面と背もたれレイヤー分け
ガイド(青線)を引いてその中に収めるようにすると描きやすいです。

次に脚部分をレイヤー分けします。

脚のレイヤー分け
ガイド(青線)を引いておくと角度がついた脚も描きやすいです。

3. 色と陰影を付ける

レイヤー分けができたら、机と同じく以下の順番で色と陰影を付けていきます。

  • 固有色
  • オクルージョンシャドウ
  • フォームシャドウ
  • キャストシャドウ
  • 明部(ハイライト)
  • 反射光
  • 質感

① 固有色

まず固有色を置きます。

椅子の固有色
固有色の選び方のコツはこちら

② オクルージョンシャドウ

かげには机と同じく乗算レイヤーと以下のかげ色を使います。

かげ色のHSV

まずオクルージョンシャドウは以下のように入れました。

椅子のオクルージョンシャドウ
座面と背もたれの境界、座面と脚の境界に入れました。

③ フォームシャドウ

次に光源と椅子の位置関係を想像しながらフォームシャドウを付けます。

まず背もたれの部分について、光源を背にしている面が最も暗くなります。少し曲がった形状をしているので上側は少し残してかげ色をのせました。

背もたれのフォームシャドウ

次に側面部分にもかげ色をのせました。こちらは先ほどよりも乗算レイヤーの不透明度を下げて明るくなるようにしています。

背もたれのフォームシャドウ
あんよ
あんよ

乗算レイヤーの不透明度を調整することでかげ面ごとの明るさの違いを表現します。

座面部分については、まず側面にかげ色を置き、

座面のフォームシャドウ

光源を背にする部分にはさらに乗算レイヤーを重ねて暗くします。

座面のフォームシャドウ

座面の上面は背もたれによってかげになるのでそれも表現します。

脚のフォームシャドウ

最後に脚の部分は、光源側を少し残して以下のようにかげ色を入れました。

脚のフォームシャドウ

④ キャストシャドウ

最後のかげとしてキャストシャドウを描きます。

今回椅子には太陽からの直進光と窓から入る散乱光のどちらも当たるので、まずは直進光によるキャストシャドウを考えます。

窓のキャストシャドウを描くときに使った影の消失点太陽光の消失点を使って、キャストシャドウの輪郭を以下のように割り出します。

椅子のキャストシャドウ

輪郭の内部に乗算レイヤーでかげ色を置き、物体から離れている部分はぼかします。

椅子のキャストシャドウ

ひとつの光源(今で言うと直進光)によってできるキャストシャドウの中に新たにキャストシャドウができることはないので、窓の影と重なっている部分は消します。

椅子のキャストシャドウ
キャストシャドウの乗算レイヤーを一度通常レイヤーに戻してから両者を統合すると重なりを消すことができます。

そして散乱光によるキャストシャドウは、以下のように脚元に入れました。

椅子のキャストシャドウ

⑤ 明部、ハイライト

かげを付け終えたら明部とハイライトを入れます。

机と同じく覆い焼き(発光)レイヤーと以下の明部色を使います。

明部色のHSV

明部には「不透明水彩」を、ハイライトには「C油彩」を使って明るくなる部分を強調しました。

椅子の明部とハイライト

⑥ 反射光

明暗が付け終わったので次に反射光を入れます。

机と同じくオーバーレイレイヤーと以下の反射色を使います。

反射色のHSV

座面と脚の床側に「不透明水彩」で反射色をのせました。

椅子の反射光

⑦ 質感

最後に質感を加えます。

質感を描くときには、机と同じく固有色に対して少し暗い色と少し明るい色を使います。

座面と背もたれの部分については、まず「質感ブラシ」で陰影を補強し、

椅子の質感

「J.鉛筆2ブラシ」で布の質感を加えます。

椅子の質感

そしてさらに縫い目の部分を「質感ブラシ」で描き足します。

椅子の質感

最後に、脚の部分に「油彩平筆」で木材の質感を加えたら椅子は完成です。

椅子の質感

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