液晶ペンタブレットは様々な製品が発売されており、どんな基準で選べば良いか迷ってしまう方も多いと思います。
この記事では、イラストレーターの筆者が自身の経験も踏まえて、趣味はもちろん仕事でも使える液タブのスペックとおすすめの製品を紹介します。
おすすめのスペック
イラスト制作におすすめの液タブのスペックは、調べると色々なものが出てきます。
筆者の見解としては、以下の4つの条件で選べば、趣味はもちろん仕事でも使える製品だと思います。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| ① サイズ | 16~24インチ |
| ② 解像度 | ・サイズが19インチ未満ならフルHD以上(本格的に仕事で使うなら2.5K) ・サイズが19インチ以上なら2.5K以上(本格的に仕事で使うなら4K) |
| ③ 描き味 | 自身が描きやすいもの |
| ④ 発色性能 | 本格的に仕事で使うなら低価格帯は避ける |
各項目について解説していきます!
① サイズ
現在販売されている液タブの主要サイズは、以下の6種類です。
- 12インチ
- 13インチ
- 16インチ
- 22インチ
- 24インチ
- 27インチ
画面サイズが小さいと、以下のようなことから作業効率が落ち、作業中のストレスも増えます。
- 拡大・縮小の操作回数が増える
- ツールパレットに圧迫されて、実際に描くキャンバススペースが狭くなる
そのため、シンプルなタッチの画風であっても、最低でも16インチは確保することをおすすめします。
特に、細かいタッチの画風の場合は、22インチ以上がおすすめです。
一方で、サイズが大きくなるほど、自身の視野に画面全体が収まらなくなっていきます。
その結果、画面の大きさを持て余したり、逆に作業がしづらくなることがあります。
そのため、サイズは大きくても24インチまでがおすすめです。
それよりも大きなものは、スペースと予算に余裕があり、さらに大きな画面で描きたい人向けかなと思います。
② 解像度
現在販売されている液タブの解像度は、以下の4種類です。
- 1920×1080px(フルHD、2K)
- 2560×1440px(2.5K、WQHD)
- 2560×1600px(WQXGA)*
- 3840×2160px(4K)
同じサイズでも、異なる解像度の製品が存在します。
ただし、サイズが大きくなるほど、解像度が低いと画質が粗く見えてしまいます。
そのため、筆者が考える解像度のおすすめは以下です。
| サイズ | 解像度 |
|---|---|
| 16インチ | 趣味や簡単な仕事なら、フルHD 本格的な仕事なら、2.5KかWQXGA |
| 22、24インチ | 趣味や簡単な仕事なら、2.5K 本格的な仕事なら、4K |
個人的には、16インチに4Kは仕事用途でもオーバースペックだと思います。
③ 描き味
描き味は、スペック表では、筆圧レベルや応答速度などを見ることになります。
ただ、近年の液タブはどれも比較的高水準にあるので、このあたりの数字比較はこだわりのある人向けかなと思います。
そして、スペック表の数字だけではわからない描き味も存在していて、そちらの方が重要です。
特にペンの滑りやすさは、メーカーごとに特徴があります。
下の図は、実機を触った筆者の主観ですが、Wacomを基準にしたときの各メーカーのペンの滑りやすさを表したものです。

他にも、ペン先と画面上のカーソルとの距離(視差)は、基本的に価格が高い製品ほど小さくなり、描きやすくなります。
Wacom、HUION、XPPenの製品であれば、家電量販店に実機が置いてあることも多いです。
できれば購入する前に、実機に触って自身に合うかどうか確認できると良いです。
描き味は、フィルムやペンの芯によっても変えられます。
特にWacom以外のメーカーの描き味が気になるときは、検討してみると良いでしょう。
筆者はWacom製品を長く使っているので、描き味は他メーカーの製品を触ると気になるポイントです。しかし、最初から他メーカーのもので始めるのであれば、優先度は下がるかもしれません。
④ 発色性能
基本的に高価格の製品ほど、発色性能が良く(発色できる色の範囲が広く)なります。
本来は、自身の制作環境とイラストが見られる環境で、同じになるように色を調整する必要があります。
しかし、完全に同じにはできなかったり、調整には専門的な知識が必要になったりします。
そのため、プロの中でも、色にどこまでこだわるかには差があります。
筆者の見解としては、趣味用途で液タブを購入する場合は、発色性能はほとんど気にしなくてよいと思います。
一方で、趣味でも色にもこだわりたかったり仕事用途の場合は、色域カバー率が100%に近いものを選ぶとよいです。
液タブとは別にPCに繋ぐモニターの方で、最終的な色は確認するようにするのもひとつの手です。
補足:サイドボタン、タッチ機能
液タブには、ショートカットが割り当てられるサイドボタンや、タッチ機能が付いている製品があります。
しかし、特に仕事となると作業効率が重視されるため、サイドボタンやタッチ機能よりも、キーボードや左手デバイスが使われます。
筆者も、ショートカットはすべてキーボードに割り当てています。
そのため、サイドボタンやタッチ機能は、基本的に必要ないと思います。
むしろサイドボタンなどは、無くすことでコンパクトにしている製品も多いです。
ここまでの内容を踏まえて、ここからは、価格と性能別におすすめの液タブを紹介していきます!
価格重視の人向け(~5万円台)
<低価格16インチの名機> Kamvas 16 (2021)
| 製品名 | Kamvas 16 (2021) |
| メーカー | HUION |
| 発売時期 | 2020/12 |
| サイズ | 15.6インチ |
| 解像度 | 1920×1080px(フルHD) |
| 筆圧レベル | 8192 |
| 応答速度 | 25ms |
| 色域カバー率 | 記載なし |
HUION(フイオン)は、安価でも十分な性能をもった高コスパ製品を出している海外メーカーです。
この製品は、発売が2020年と少し古いこともあり、セール時には3万円台で購入可能です。
価格の低さは、描き味や発色性能に出てきますが、簡単なイラストの仕事をこなせる最低限の性能はもっている製品です。
低価格16インチの中での人気商品です。
筆者も実機を触ったことがありますが、性能は価格以上だと思います。
<低価格22インチの名機> Artist 22 セカンド
| 製品名 | Artist22 セカンド |
| メーカー | XPPen |
| 発売時期 | 2021/2 |
| サイズ | 21.5インチ |
| 解像度 | 1920×1080px(フルHD) |
| 筆圧レベル | 8192 |
| 応答速度 | 8ms |
| 色域カバー率 | 記載なし |
細かいタッチのイラストを制作する場合は、16インチだと手狭です。
こちらの製品は、価格重視で大きなサイズの液タブを用意したい人におすすめです。
XPPen(エックスピーペン)も、安価な製品を出してきている海外メーカーのひとつです。
解像度はフルHDで発売も2021年と少し古いですが、その分安く、セール時には5万円近くまで下がることもあります。
筆圧レベルや応答速度は最新モデルにも引けをとらず、実機を触ったときの描き味もよかったので、低価格帯22インチの中では最もおすすめです。
低価格帯の製品でもイラストの仕事はこなせます。
ただし、「細かく描き込みたい」「長く使いたい」「作業時のストレスを極力減らしたい」「描き味や発色性能までこだわりたい」という人は、上位モデルの製品を検討しましょう。
価格を抑えつつ性能も重視したい人向け(~10万円台)
<価格と性能のバランス抜群> Kamvas 16 (Gen3)
| 製品名 | Kamvas 16 (Gen 3) |
| メーカー | HUION |
| 発売時期 | 2025/1 |
| サイズ | 15.8インチ |
| 解像度 | 2560×1440px(2.5K) |
| 筆圧レベル | 16384 |
| 応答速度 | 14ms |
| 色域カバー率 | sRGB 99% / Adobe RGB 90% |
上で紹介した「Kamvas 16 (2021)」の最新上位モデルで、解像度や描き味、発色性能などが向上しています。
個人的に16インチに4K解像度はいらないと思うので、16インチで検討している場合はこれで十分と言える製品です。
同スペックの製品に「Artist Pro 16 (Gen2)」があります。
WQXGA解像度が魅力的ですが、実機を触った感触としては、ペンの滑りが結構ありました。
一方で「Kamvas 16 (Gen3)」は、ペーパーライクフィルムで描き味をWacomに近づけられるので、ここではフィルム込みでこちらをおすすめします。
HUIONとXPPenには同スペック製品が多いです。
ただ、その差はわずかなので、最終的な決め手は個人の好みになるかなと思います。
<22インチ2.5Kなら> Kamvas 22 (Gen3)
| 製品名 | Kamvas 22 (Gen 3) |
| メーカー | HUION |
| 発売時期 | 2026/3 |
| サイズ | 21.5インチ |
| 解像度 | 2560×1440px(2.5K) |
| 筆圧レベル | 16384 |
| 応答速度 | 14ms |
| 色域カバー率 | sRGB 99% / Adobe RGB 90% |
こちらは、22インチ2.5K解像度のおすすめ製品です。
同スペックの製品に「Artist Pro 22 (Gen2)」があります。
どちらも実機を触った感触としては、わずかですが「Kamvas 22 (Gen3)」の方が描き味がよりWacomに近く、解像感も若干良いように感じました。
この価格帯でスタンドまで付いているので、価格と性能のバランスが非常に良い製品です。24インチは意外と場所を取るので、22インチ製品はもう少しコンパクトに収めたいという人にもおすすめです。
<22インチ2.5Kが物足りないなら> Kamvas Pro 19
| 製品名 | Kamvas Pro 19 |
| メーカー | HUION |
| 発売時期 | 2024/5 |
| サイズ | 18.4インチ |
| 解像度 | 3840×2160px(4K) |
| 筆圧レベル | 16384 |
| 応答速度 | 15ms |
| 色域カバー率 | sRGB 99% / Adobe RGB 96% |
22インチ2.5Kの解像度が気になる場合は、19インチ4Kという選択肢もあります。
現状19インチサイズは、HUIONの「Kamvas Pro 19」とXPPenの「Artist Pro 19(Gen2)」のみです。
実際に実機も触りましたが、22インチ2.5K製品よりも、19インチ4K製品の方が画質は確実に良いです。
描き味も、19インチ4K製品の方が良い印象がありました。
この2製品には、付属品やタッチ機能の違いがあります。
ただ、HUIONはペーパーライクフィルムが優秀なので、ここでもフィルム込みで「Kamvas Pro 19」の方をおすすめします。
この価格帯の製品であれば、かなり細かいタッチの絵柄であったり描き心地にこだわりがない限り、仕事でも問題なく使えるでしょう。
性能重視の人向け(10~40万円台)
<安定のワコム品質> Wacom Cintiq 16
| 製品名 | Wacom Cintiq 16 (DTK168) |
| メーカー | Wacom |
| 発売時期 | 2025/6 |
| サイズ | 16.0インチ |
| 解像度 | 2560×1600px(WQXGA) |
| 筆圧レベル | 8192 |
| 応答速度 | 12ms |
| 色域カバー率 | sRGB 100% |
Wacom(ワコム)は、ペンタブレットの国内老舗メーカーです。
安価な海外メーカーと比べると高価ですが、性能と品質は申し分なくプロにも愛用者は多いです。
こちらは、16インチWQXGA解像で、安定のWacomの描き味を持った製品です。
液晶サイズ16.0インチに対して、ベゼル(枠の部分)が狭く設計されているのも魅力的です。
上で紹介した「Kamvas 16 (Gen 3)」もスペック上は同等ですが、Wacomの描き味にこだわりたい人には、この製品がおすすめです。
<文句なしの性能と品質> Wacom Cintiq Pro 22
| 製品名 | Wacom Cintiq Pro 22 |
| メーカー | Wacom |
| 発売時期 | 2023/11 |
| サイズ | 21.5インチ |
| 解像度 | 3840×2160px(4K) |
| 筆圧レベル | 8192 |
| 応答速度 | 12ms |
| 色域カバー率 | Adobe RGB 95% |
こちらは、22、24インチで検討しているのならこれで間違いないと言える製品です。
22インチ4K解像度で販売されているのは、この製品だけです。
非常に高額ですが、その分文句なしの性能と品質です。
Wacom製品は、単純に高いスペックだけでなく、唯一の描き味や動作の安定性、耐久性なども持っているので、愛用するプロも多いです。
<24インチ4Kなら> Xencelabs ペンディスプレイ 24インチ
| 製品名 | ペンディスプレイ 24インチ |
| メーカー | Xencelabs |
| 発売時期 | 2023/5 |
| サイズ | 23.8インチ |
| 解像度 | 3840×2160px(4K) |
| 筆圧レベル | 8192 |
| 応答速度 | 1ms |
| 色域カバー率 | Adobe RGB 99% |
上で紹介した「Wacom Cintiq Pro 22」は高額なので、予算が足りない場合は、他メーカーの製品も検討すると良いでしょう。
Xencelabs(センスラボ)は、Wacomよりは低価格帯ですが、主に上級者向けの製品を出している海外メーカーです。
下の記事で書いていますが、HUIONの「Kamvas Pro 24 (Gen3) 」とXPPenの「Artist Pro 24 (Gen2) 4K」は、他の4K製品よりも解像感が少し落ちます。
そのため、24インチ4Kの中では、こちらの製品がおすすめです。
実機に触れましたが、Xencelabsの描き味はWacomに近く、ファンレスなのも魅力的なポイントだと思います。
迷ったときはレンタルサービスを使うのも手
Rentioでは、新品の製品をレンタルすることができます。
気に入れば、レンタル料との差額を支払って、製品をそのまま購入することも可能です。
\ WacomとXPPenの取り扱いがあります /





