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【実録】プロのイラストレーターになるまでに必要な練習量

2024年4月14日

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プロになるまでに必要な練習量

この記事では、フリーランスのイラストレーターである筆者が、デジタルイラストを描き始めてからフリーランスになるまでに描いたイラストの枚数を実際のイラストとともに公開します。

イラストを勉強中の方やプロのイラストレーターを目指している方の参考になれば幸いです。

絵を描き始めた時期と勉強法

筆者がペンタブレットを買ってデジタルイラストを始めたのは2012年6月頃のことです。

当時大学生だった私はこれといった趣味がなく、趣味を探して辿り着いたもののひとつが絵でした。
絵は幼少期からよく描いていたという訳ではないですが、小中学校の美術の授業で絵を描くのは好きでした。

デジタルイラストは完全に独学で、当時の参考書やネット上の解説はメイキングメインだったため好きな方のメイキングから制作手順を学び、その後も参考書メインで独学で技術を磨き現在に至ります。

勉強法としては模写と個人創作を繰り返すスタイルで、デッサンやクロッキーには取り組んだことがありません。
また基本的に描き始めたら途中で制作をやめることはせず、1枚の絵として必ず完成させるようにしてきました。

年間のイラスト制作枚数

大学生でデジタルイラストを始めた筆者ですがイラスト業界を目指すことはなく、その後大学院にまで進学し2016年に精密機器メーカーに就職しました。

ですが会社員生活の中で色々と思うところがあり、2020年に退職してフリーランスのイラストレーターとなりました。
詳しくは以下の記事で書いているので興味のある方は合わせてご覧ください。

ここからは、2012年から2023年までの年間のイラスト制作枚数をイラストとともに示していきます。

枚数\年201220132014201520162017201820192020202120222023
模写10153204302401
個人創作1212914612151522963
仕事00010056365110292
年間合計222712176162321606410896
累計2249617884100123144204268376472

2012~2013年:趣味でイラストを始める

2012年はデジタルイラストを始めたばかりで楽しく、また大学の授業数が少ない年で時間があったので月に3~4枚のペースで制作していました。

下は筆者が初めて描いたデジタルイラストです。

草原
2012.6.21

元々人体を描くのは苦手意識があったので、最初からキャラクターよりは背景を練習して上手くなろうと思っていました。

新海誠監督作品の背景が好きで画集「空の記憶」のイラストをこの頃はよく模写しており、模写をして学んだ技術を個人創作でやってみるを繰り返していました。

晩夏
2012.9.4
踏切
2012.10.7
朝焼け
2012.12.26

2013年は少しペースが落ち、月に2~3枚のペースで制作していました。
個人創作において自身で撮影した写真を下地として活用し始めたのはこの頃からです。

住宅街
2013.1.24

この頃は板タブを使っており線画をデジタルで行うにはあまり良い環境ではなかったので、線画はアナログで描きスキャンして着彩するという方法をとっていました。

紅葉
2013.2.15
雲と少女
2013.9.21

キャラクターについても模写で練習してはいたのですが、上の左のイラストなどは顔のバランスの乱れが目立ちます。

2014~2015年:大学院に進学

大学院に進学し学業が忙しくなったことにより制作ペースが月に1~2枚に落ちますが、自身の絵柄の方向性が明確になってきた時期でもあります。

風景
2014.6.16
札幌駅
2014.11.15

絵柄を確立するために模写よりも個人創作に取り組み、2015年は二次創作にも多く取り組みました。

セイバー
2015.5.17
2015.6.27
2015.8.2

また2015年はファーストデザインというクラウドソーシングサービスに登録し、1枚500円程度のレタッチの仕事をする程度でしたがイラストでお金を得ることに初めて挑戦した年でもありました。

2016~2017年:就職

社会人1年目の2016年はイラスト制作にあまり時間が割けず、2か月に1枚程度の制作ペースとなりました。
ですが技術は着実に身に付いてきており、下のイラストは「第1回 いちあっぷ杯」で賞をいただけることになります。

memory
2016.9.19

2017年になるとイラストの制作ペースが昨年よりは上がり月1枚程度になります。
また2017年は知人の合同誌にイラストを寄稿し、初めてイベントに参加した年でした。左下のイラストはその際に寄稿したものです。

blue
2017.5.14
a point ot the light
2017.7.1

そして「いちあっぷ杯」での受賞に引き続き、下のイラストは「第11回ペンタブレットdeアートコンテスト」で賞をいただけることになります。

sunset
2017.9.3

2018~2019年:イラストが副業に

「ペンタブレットdeアートコンテスト」受賞の副賞でイラストテクニックの紹介記事作成のお仕事をいただき、これが初めての企業案件となります。下はその際に制作したイラストです。

都会の空
ワコム「イラストテクニック第143回」

この仕事をきっかけに、イラストの技術をもっと高めて他の仕事もしてみたいという気持ちが大きくなり、以前より精力的にイラストに取り組むようになります。
平日は本業でイラスト制作に時間をほとんど割けなかったので、ここからの2年間は休日と有休の大半をイラスト制作に当てるような生活を送ることになりますが、ペースとしては月に2枚程度でした。

またこの頃にTwitterのフォロワー数が数千~1万人になり、年間で10件にも満たない程度ですが徐々に個人や企業の方から依頼の連絡をいただけるようになります。

夕月
2018.3.25
summer
2018.5.21

ここまではずっとノートPC+板タブという作業環境だったのですが、2018年8月頃にはデスクトップPC+液タブにして作業環境を一新し、イラスト制作ソフトもSAIからCLIP STUDIO PAINTに移行しました。
2018年11月のコミティア126が初めてサークル側として参加するイベントとなり、初のイラスト集を頒布します。

TITLE:0
初のイラスト集「TITLE:0」

2019年の初めは、上で触れたイラストテクニックの紹介記事を見たパルミーの担当者から依頼をもらい講座の仕事をさせていただきました。

始発駅
パルミー「写真から作るデジタル背景講座」

他にも2019年はVTuberのMV用イラスト制作などの仕事もいただきました。
本業の傍ら2冊目のイラスト集も制作し、2019年5月のコミティア128で頒布しました。

イラスト集「'atmosphere' log」
eternal
2019.1.5
いつもの場所で
2019.8.16

2020年:退職してフリーランスに

2020年は会社を辞めてフリーランスのイラストレーターになった年です。

イラスト制作は仕事と個人創作合わせて月に5枚程度のペースでしたが、2020年は仕事の数が少なかったためフリーランスになってから最も多く個人創作に取り組めた年でもあります。

ねえ、なんだかまるで雪みたいじゃない?
2020.4.1
crossroads
2020.6.26

イラストに向き合う時間が増えそれまでで最も多くイラストを描いた年でもあったため、技術もその分向上した年であったように思います。

2021~2023年

フリーランス1年目に個人創作を多く制作しSNSのフォロワーを増やせたおかげで、2022年以降は仕事の依頼数が増えました。

そのため2021年以降は仕事以外のイラスト制作枚数はかなり少なくなっていきます。

end of summer
2021.9.26
紅葉狩り
2021.11.21

2022~2023年はゲーム内の小物やアニメーションの背景といった点数の多い仕事を受けていたため、仕事で制作したイラストの枚数が多くなっています。
また2022~2023年は、個人創作でも仕事での使いやすさを意識したイラストのテーマ設定や画面作りを心がけていました。

すずめの戸締まり
2022.7.19
変わらない夏
2022.8.19
初雪
2022.12.1
「またね。」
2023.3.10
PM5:00
2023.3.15

フリーランスになってからの4年間においては、仕事とは別に技術向上のためにイラストを制作する時間も少なからずありましたが、実際の仕事を通して多くのイラストを制作できたことが技術向上に大きく寄与したように感じます。

仕事をもらうまでの練習量

筆者がデジタルイラストを描き始めてフリーランスのイラストレーターになるまで(2012~2019年の8年間)に描いたイラスト枚数の合計は、144枚でした。

この数字は、仕事がもらえるレベルになるまでの練習量のひとつの例として参考にしていただければと思います。

ただし、描くだけでなく理論を学習する時間も別途必要になるのと、学習内容が頭の中で整理されるのにはある程度時間がかかるので、例えば1日1枚描いて144日間で同じ効果が得られる訳ではないと個人的には思っています。

また筆者が仕事をいただいているのは背景イラストの分野なのですが、個人的には背景イラストには以下のような性質がありこのことも練習量に影響しているのではないかと思っています。

  • 人体は形が複雑かつ人が見慣れた対象であるため理論学習だけでなく枚数をこなすことも必要になる一方で、背景は理論さえ理解できれば比較的応用が効きやすく身に付けやすい。
  • 背景は仕事の数に対して描き手が少ないため仕事が得やすい。

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