描き方講座 イラスト制作

【絵描きのための】色と光の物理習得ガイド

2024年4月6日

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色と光の物理習得ガイド

イラスト制作者向けに光と色の物理を解説した書籍はいくつかありますが、読んでみても内容が十分に理解できなかったり、自身の制作に落とし込むことができなかったりしたことはないでしょうか?

この記事はそんな色と光の物理についてわかりやすい解説を目指し、すべて読めば基礎的な原理・理論は網羅できるようなガイドコンテンツになっています。

絵に物理知識は必要?

絵に絶対のルールはありませんから、もちろん実際の現象を忠実に描写する必要はありません。

ですが実際の現象とかけ離れた表現は見る人にとって見づらく、テーマが伝わりにくい絵になってしまうのも事実です。

そのため、テーマが伝わりやすい絵を描くためには物理知識は必要なものだと筆者は考えています。

ただ私たちは科学者ではないので厳密に理解する必要はなく、あくまで絵を描くための考え方のひとつとして捉えるくらいで良いとも思っています。

あんよ
あんよ

私は学生時代から光学の分野に携わっていたので理解していたのですが、イラストレーターとして活躍されている方の多くは原理もある程度押さえている印象があります。

色の知覚

まずは私たちヒトやカメラがどのようにを知覚しているのか、身の回りにあるものの色はどうやって決まっているのかを学びましょう。

ポイント

  • 色は(光源の分光)×(物体の分光反射率)×(網膜/センサーの感度)+(画像処理)によって決まる。そのため、最終的な色は光源からの光まわりからの反射光の足し合わせで考えられる。
  • 光の波長ごとにヒトが感じる色は決まっていて、色ごとに感じやすさが異なる。明るい場所では緑を暗い場所では青を強く感じやすく、彩度の高い緑がまぶしく見えたり夜に青っぽいイメージがあるのはそのせい。

光の散乱

色と光には密接な関係があることを学びました。

光には反射や屈折といった性質がありますが、中でも散乱という性質は私たちの身の回りにある物の色に大きな影響を与えています。

そこで次は光の散乱について見てみましょう。

ポイント

  • 青空、夕焼け、雲の色は光の散乱によるもので、光源と観測者の位置から理解することができる。
  • 暗い部分に寒色、明るい部分に暖色が好まれる絵のセオリーは、万能ではないが身の回りで成り立っていることも多い。
  • 空気遠近法の処理をどうするかで、天気、時間帯、季節、周辺環境などを表現することができる。
  • 表面化散乱の表現は物にリアリティを出したり深みを出すのに有効。

明暗

明るさの知覚

色の次は、私たちヒトやカメラがどのように明るさを知覚しているのかを学びましょう。

ポイント

  • 眼やカメラが認識できる明るさには(ダイナミックレンジ)がある。その幅をどこに合わせるかで画面の印象が大きく変わる。
  • 輝度は、眼の色に対する感度を反映させたもの。

陰影

光があることによって物体には陰影ができますが、陰影は現象ごとに切り分けて考えることが可能です。

ここではその陰影の種類を発生原理とともに見てみましょう。

ブログ版で補足あり

ポイント

  • フォームシャドウ: 光源の向きと物体自身の形状により物体表面にできる陰
  • オクルージョンシャドウ: 物体同士が接している境界部分にできる影
  • キャストシャドウ: 光の直進が物体で遮られてできる影
  • フォールオフ: 光源から離れるほど暗くなる光の減衰
  • 照度で考えれば物体表面の明るさを推測できる。ただし反射率の高い物体の場合は観察者の視点も考慮する必要があるので注意。

光学

画角とピント

私たちは普段自身の眼で幅広い景色を捉えていますが、基本的に絵はその景色の一部を切り出したと仮定して描くことになります。

そこで重要になる知識が画角とピントです。ここではそれらについて学びましょう。

ポイント

  • 物体を見る距離が同じでも、画角が違えば見え方は大きく変わる。
  • ピントが合う距離幅(被写界深度)は画角によって変化する。画角が広いほどピントが合う距離幅は長く、画角が狭いほどピントが合う距離幅は短くなる。

画角とパース

キャンバスのサイズを決めてひとつ物体を描いた時点で、実はそのキャンバスの画角は決まってしまいます。

そこで次は画角とパース(透視図法)の関係性について見ていきましょう。

特に背景・風景を描く際には、個人的に最も押さえてほしいポイントになります。

ブログ版で補足あり

ポイント

  • 物体の奥行きを設定した時点でキャンバスの画角は決まる。
  • 視心は画面の中心から大きく動かさない方が良い。

応用編

ここまでは最低限押さえてほしい基礎の部分を解説してきました。

ここからは押さえるべき優先度としては高くないですが、知っておくと使える知識を紹介します。

収差

解説作成中

ポイント

  • 収差のない理想的なレンズで見た景色は透視図法で描いた景色と一致する。
  • 収差によるボケや色のずれは基本的には画面周辺で生じやすい。
  • 広角レンズでの画面の歪みは歪曲収差(ディストーション)によるもの。
  • 画面の中心から周辺に向かってコサインの4乗で明るさは減衰する。

魚眼

解説作成中

レンズフレア

強い光源があるシーンで映像表現によく使われる光学現象にレンズフレアというものがあります。

ヒトの眼では基本的にレンズフレアは見られませんが、視力矯正で眼内レンズ(ICL)を入れている場合などはヒトの眼でも発生します。

ポイント

  • レンズフレアは、強い光源がある場合に画面の中心光源を通る直線上に発生する。
  • レンズフレアの形や色は基本的に自由。

心理色、錯視

解説作成中

絵画的手がかり

解説作成中

教材

この記事で解説した内容は色と光の物理についての主に基礎の部分であり、ここでは触れていない細かい知識も多く存在します。

最後に、イラスト制作者向けに色と光の物理について解説した代表的な3冊の書籍を紹介するので、より詳しく学びたいという方は参考にしていただければと思います。

色と光マスターガイド

光と色の物理と技法について解説した<理論編>が約200ページ、理論編の内容を踏まえたイラストメイキングの<実践編>が約130ページの大ボリューム本です。
3冊の中で一番新しい書籍で他2冊の内容も大部分網羅しているので、どれか1冊だけを買うならこの本をおすすめします。

画づくりのための光の授業

3冊の中では物理的な説明が一番きちんとされている書籍です。
3DCGと写真を例に、主に環境光を含めた物体の陰影と材質ごとの見え方の違いについて詳しく解説されています。また実際の映像作品を例に、構図とライティングについての解説も30ページほど収録されています。

カラー&ライト

絵の表現技法を物理現象に基づいてまとめた書籍の先駆者と言える書籍で、3冊の中では一番古い本です。
他2冊ほどの細かい原理の説明はありませんが、すべての説明において絵の実例がついています。
個人的には今から買うなら他2冊かなと思いますが、合わせて読めばより理解が深まるかと思います。

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