16インチの液タブは小さ過ぎず大き過ぎずのちょうど良いサイズなので、購入を検討する方も多いと思います。
ただそれゆえ各社から16インチサイズの液タブは発売されており、ひとつのメーカーにも複数機種あったりと選択肢が多く迷ってしまうのも事実です。
そこでこの度HUION様よりKamvas 16 (Gen3)を提供いただいたので、本記事では他の16インチ液タブと比較しながらレビューしたいと思います!
16インチ液タブの仕様一覧
液タブの主要メーカーであるHUION、XPPen、Wacomから現在発売されている16インチサイズの液タブの仕様を一覧にしてみました。
メーカー | 発売時期 | 製品名 | 解像度 | 筆圧レベル | 応答速度 | 色域カバー率 Adobe RGB | 価格 (公式ストア) |
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HUION | 2020/12 | Kamvas 16 (2021) | 1920×1080px | 8192 | 25ms | - | ¥35,999 |
2022/1 | Kamvas Pro 16 (2.5K) | 2560×1440px | 8192 | 14ms | - | ¥53,700 | |
2025/1 | Kamvas 16 (Gen3) | 2560×1440px | 16384 | 14ms | 90% | ¥67,983 | |
2021/3 | Kamvas Pro 16 (4K) | 3840×2160px | 8192 | 25ms | - (Plusは色域向上機種) | ¥70,999 (Plusは¥119,999) | |
XPPen | 2022/5 | Artist 16セカンド | 1920×1080px | 8192 | - | - | ¥39,980 |
2023/8 | Artist Pro 16 (Gen2) | 2560 x 1600px | 16384 | 20ms | 97% | ¥68,800 | |
2021/7 | Artist Pro 16 TP | 3840×2160px | 8192 | - | - | ¥94,400 | |
Wacom | 2019/1 | Cintiq 16 | 1920×1080px | 8192 | 25ms | 96% | ¥99,880 |
2021/11 | Cintiq Pro 16 | 3840 x 2160 | 8192 | 30ms | 98% | ¥217,800 |
基本的には、高価格帯で性能重視のWacomに対し、中低価格帯で様々な性能のラインナップをHUIONとXPPenが出しているという構図になっています。

まずはこれらから条件別でおすすめをピックアップしてみました!
初心者、価格は抑えたい人向け
主に趣味用途、シンプルなタッチの絵しか描かない、初めての液タブ購入などでとにかく価格は抑えたいという場合にはこちらがおすすめです。
同価格帯にはXPPenの「Artist 16セカンド」もありますが、性能的には大きな差はないので価格重視であればこちらに軍配が上がるかなと思います。

過去に実機レビューをしたことがあるのですが、複雑な作業でなければ仕事にも使うことができます。
ただガッツリ仕事で使うとなると、サイズ的に細かいタッチの絵だと描きづらかったり、描き味や発色性能がネックになってきます。
中級者以上、仕事でも使いたい人向け
まず個人的な見解ですが、16インチサイズにおいては仕事でも4Kの解像度が必要になることは少ないです。
なので、よほど性能にこだわりたいか予算を気にしないという訳でなければ、4K解像度の製品は選択肢から外れるかなと思います。

逆に予算と作業スペースが許すのであれば、16インチよりも大きなサイズで4Kのものを検討することをおすすめします。
そうなるとまず価格を重視するのであれば、価格順でHUIONの「Kamvas Pro 16 (2.5K)」が候補になるでしょう。
一方で性能を重視する場合は、以下の2製品が候補になります。

「Cintiq 16」は安定のWacom製品ですが発売時期から少し経っていることもあるので、Wacomの描き味や発色にこだわりがあるなどでなければ現状は候補に入りづらいかなと思います。
上の2製品は性能も価格帯もほぼ同じで、サイズと応答速度、色域がわずかに異なります。
スペック上はわずかに縦のサイズが大きく色域も広い「Artist Pro 16 (Gen2)」に軍配が上がりそうな気もしますが、発売時期は「Kamvas 16 (Gen3)」の方が後なので最終的な判断は好みにもよりそうです。
そこで今回は提供いただいた「Kamvas 16 (Gen3)」を実際に触ってみて、使用感をお伝えできればと思います!
Kamvas 16 (Gen3) レビュー
外観

まずサイズ、厚みはKamvas 16 (2021)とほぼ同じですが、サイドにダイヤル式のボタンが追加されました。
筆者はサイドボタンは使わない派ですが、ダイヤル式のものが付いているのはグッドポイントだと思います。
PCとの接続方法は従来の液タブと同じく「HDMI+USB」あるいは「Type-C」による接続になります。
またドライバのCDは付属しておらず、最初にHPからダウンロードする必要があります。
スタンドもKamvas 16 (2021)と同じもので、液タブを立て掛ける方式で背面の調整で段階的に角度がつけられるようになっています。

良い点
それではいよいよ実際に触ってみた感想ですが、まず画質が良いです。

2.5K解像度なので、ある程度細かい作業も拡大しながら行えます。
また色に関しては、メインで使っているEIZOのモニターとsRGBで見比べて大きな差はなく、仕事で使うのにも十分な性能のように思いました。
描き味に関しては、高い筆圧レベルを謳っているだけあって特にKamvas 16 (2021)と比べると格段に良くなっています。
筆者は普段WacomのCintiq Pro 24を使っているのですが、確かに筆圧に対する感度はそれよりも高く、また解像度などによる処理速度の影響なのか、スペック上は同じ応答速度でもKamvas 16 (Gen3)の方がペンの反応はわずかに速いように感じました。
気になった点
筆圧レベルや応答速度は上位の製品と比べても申し分ない一方で、細かい描き味はやはり中価格帯のものだと感じました。
筆者はWacom製品を10年以上使っていて描き味が手に染み付いてしまっていることもありますが、Kamvas 16 (Gen3)はわずかに画面を引っ掻くような感触があるのが個人的には違和感でした。これはKamvas 16 (2021)も同様なので中低価格帯の製品においては仕方のない点かと思います。
なので、長く他社製品を使っていて乗り換えを考えている場合には細かい描き味は要検討項目です。

ただし画面にフィルムを貼ったりフェルト芯に替えたりすることで解消される場合もあるので、予算と相談しながら検討してみてください。
もうひとつ気になった点としては、ペンに付いているボタンの反応がかなり遅いことです。
明らかにワンテンポ遅れて反応するので、ペンで描画するときの応答速度が素晴らしいだけにこの点は残念に思いました。

またHUIONのペンはWacom製品と比べるとかなり軽いです。
軽い方が良い場合は問題ないのですが、多少の重さが欲しい人には軽すぎるかもしれません。
まとめ
この価格帯にも関わらず、画質と筆圧レベル・応答速度は上位製品にも劣らないものだと感じました。
一方で細かい描き味やボタンの反応速度など価格帯相応の部分ももちろんあります。
なので特に、
- 主に趣味用途だが予算に余裕がある
- 趣味だけでなく仕事にも使いたいが価格は抑えたい
- 仕事用途で元々HUIONユーザー
といった人におすすめの製品です。

16インチの製品はバリエーションが多いので迷うと思いますが本記事が参考になれば幸いです!