この記事では、風景イラストの描き方と題して筆者の作品「crossroads」のメイキングを解説します。
使用ソフトはCLIP STUDIO PAINTです。レイヤー未統合のCLIP、PSDデータはこちらで配布していますので参考にしてください。
制作手順
以下の順で解説していきます。
① ラフ
② 線画
③ パーツ分け
④ 塗り
⑤ 細部調整
① ラフ
今回のイラストは写真を元に制作しています。写真を使うメリットは、手軽に情報量を増やせるためイラストのクオリティを上げやすいことや制作時間の短縮などが挙げられます。一方で、使用する写真によって構図が縛られたり、自身で写真を準備する必要があるなどのデメリットもあります。
今回は自身のスマホで撮影した以下の2枚の写真を用いることにしました。写真を複数用いるときは、違和感が出ないようにそれぞれの写真のアイレベル(緑線)を合わせて制作します。アイレベルは、赤線のように写真中の適当な物から消失点を見つけて割り出します。


以下のように、不要な部分は消して組み合わせます。ホーム下の柱と配管は加筆しました。



次に色の調整とライティングを行います。まず色の調整に関しては、今回は青色をオーバーレイで重ねて調整しました。色や明るさは各種調整機能で調整することもあります。

そして、オレンジ色を加算(発光)レイヤーで重ねて日の当たる部分を明るくしました。暗部は青色系、明部はオレンジ色系で合成レイヤーを重ねると絵がまとまりやすいかと思います。

キャラなど追加のオブジェクトを配置したらラフは完成です。ラフを制作する際の構図の考え方についてはこちらを参照してください。

② 線画
線画作業は元の写真をひたすらトレスする工程な作業です。写真から線画を抽出するアプリも存在しますが、現時点で私が望むレベルで抽出可能なものがないためこの手法をとっています。ブラシは、線画にも情報量をもたせたいのでテクスチャ感の強い「鉛筆R」を使用します。線が薄いと感じる場合は線画清書後にレイヤーを複製して濃くすることもあります。また、キャラは背景と差別化したいため鉛筆Rよりも濃度の高い「濃い鉛筆」を使用しています。
今回線画はこのようになりました。

③ パーツ分け
パーツ分けも線画と同じくらい地味な作業です...笑
バケツツールと「隙間なく囲って塗る」ツールを使って地道にパーツごとのレイヤーを作成していきます。今回のイラストでは背景部分のみでパーツ分け後のレイヤー数は40枚程度になりました。
