この記事ではフリーランスのイラストレーターである筆者が、自身の経験も踏まえて趣味はもちろんイラストの仕事でも使える液晶ペンタブレットを紹介します。
おすすめのスペック
イラスト制作におすすめの液タブのスペックは調べると色々なものが出てきますが、筆者の見解としては以下の条件で選べば趣味はもちろん仕事でも十分使えると思います。
項目 | 条件 |
---|---|
サイズ | 16~24インチ |
解像度 | ・サイズが20インチ未満なら1920×1080ピクセル(フルHD)以上 ・サイズが20インチ以上なら2560×1440ピクセル(2.5K)以上 |
描き味 | 自身が描きやすいもの |
発色性能 | 低価格帯のものは避ける |
以下各項目について説明していきます。
サイズ
16インチ未満のものでもイラスト制作自体は可能です。
ただ画面サイズが小さいと拡大・縮小の操作回数が増えたり、ツールパレットに圧迫されて作業スペースが狭くなったりするので、作業効率が落ち作業中のストレスも増えるケースが多いです。
なので、シンプルなタッチの画風であっても最低でも16インチは確保することをおすすめします。
特に筆者のような細かいタッチの画風の場合、スペースが許すのであれば22インチ以上がおすすめです。
一方で24インチよりも大きなサイズになると自身の視野に画面全体が収まらなくなってくるので、画面の大きさを持て余したり逆に作業がしづらくなることがあります。
24インチよりも大きなもの(27インチ以上)は、作業スペースも予算も十分にあってより大きな画面で描きたいという人向けかなと思います。
解像度
サイズが16インチ以上であれば通常フルHD以上なので、16インチ以上のものを選べば基本的には解像度がフルHD未満になることはないと思います。
検討すべきは2.5Kや4Kのものを選ぶかどうかですが、画面サイズの大きさに対して画素数が少ないと画面が粗くみえてしまうので、基本的にはサイズが20インチ以上のものであれば最低でも2.5Kは欲しいところです。
サイズが20インチ未満のものにおいては、作業スペースの都合で20インチ以上のものは買えないけれど細かいところまで描きたいという人は2.5Kや4Kも選択肢に入れてみましょう。
描き味
ペンタブレットの製造メーカーごとにペンが画面に触れたときの感触や反応感度などが異なるのでいわゆる描き味が異なります。
一番良いのは実機に触れてみることなので、家電量販店や公式の実店舗に足を運んでみると良いでしょう。
筆者は昔からWacom製品を使っているので他のメーカーに切り替えると気になるポイントになりますが、最初から他メーカーのもので始めてそれで慣れるのであればあまり関係ないかもしれません。
発色性能
液タブに限らずPCモニターやスマホなどの画面はものによって色の出方(出せる色の範囲)が変わり、基本的には価格が高い製品ほどその性能も高くなります。
本来は自身の制作環境とイラストが見られる環境が同じになるように色を調整する必要があるのですが、完全に同じにすることはできなかったり調整には十分な知識が必要になったりするので、プロの中でもどこまでこだわるかはその人によります。
ただ、よほど低価格の製品を使わない限りはそれで仕事にならないという事態にはならないので、個人的には発色性能のためだけに高い製品を買う必要はないと思います。
ここからは上記の観点を元に、価格と性能別にイラストの仕事で使えるおすすめの液タブを紹介していきます!
価格重視の人向け
製品名 | Kamvas 16(2021) |
メーカー | HUION |
サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 1920×1080ピクセル(フルHD) |
価格 | ¥35,999(2024.11.19 公式ストア) |
対応OS | Windows / Mac / Linux / Android |
HUION(フイオン)は最近勢いのある海外メーカーで、安価でも高性能な製品を出してきています。
16インチの液晶タブレットは国内メーカーのWacomだと8~9万円台になるのでそれと比べると半分ほどの価格で購入できます。
この価格差は描き味や画面の発色性能に出てきますが、イラストの仕事をこなせるだけの性能は十分あります。こちらの動画は私がこの液晶ペンタブレットを使ってイラストを制作した際の様子になります。
またHUIONの製品はAndroidにも対応しているため、PCでなくスマートフォンやタブレットで動かすことも可能です。
製品名 | Artist22 セカンド |
メーカー | XP-PEN |
サイズ | 21.5インチ |
解像度 | 1920×1080ピクセル(フルHD) |
価格 | ¥53,820(2024.11.19 公式ストア) |
対応OS | Windows / Mac / Linux / Chrome |
XP-PEN (エックスピーペン)も安価な製品を出してきている海外メーカーのひとつです。
細かいタッチのイラストを制作する場合は16インチだと手狭になってしまうため、価格重視で20インチ以上のものを用意したいという人向けの製品です。
ただし解像度がフルHDで大きさに対して少し粗く感じるかもしれないのでその点は注意してください。
Wacom製の22インチだと16万円ほどするので、それと比べると約3分の1の価格で購入できます。
低価格帯の製品でもイラストの仕事はこなせます。
ただし、細かく描き込みたい、長く使いたい、作業時のストレスを極力減らしたい、描き味や画面の発色までこだわりたい、という人は上位モデルの製品も検討してみましょう。
価格を抑えつつ性能も重視したい人向け
製品名 | Kamvas Pro 16(2.5K) |
メーカー | HUION |
サイズ | 15.8インチ |
解像度 | 2560×1440ピクセル(2.5K) |
価格 | ¥60,999(2024.11.19 公式ストア) |
対応OS | Windows / Mac / Linux / Android |
上で紹介した「Kamvas 16(2021)」の上位モデルで、解像度や描き味、発色性能などが向上しています。
16インチでこれよりも高解像度なものは「Kamvas Pro 16 Plus (4K)」や「Wacom Cintiq Pro 16」などになるのですが、価格が10~20万円と高額になります。
個人的には16インチに4Kまでの解像度はいらないと思うので、特別こだわらない限り16インチで検討している場合はこれで問題ないといえる製品です。
まぎらわしいですが「Kamvas Pro 16」という製品名の下位モデルもあるので購入時には間違えないよう注意してください。
製品名 | Artist24 |
メーカー | XP-PEN |
サイズ | 23.8インチ |
解像度 | 2560×1440ピクセル(2.5K) |
価格 | ¥79,020(2024.11.19 公式ストア) |
対応OS | Windows / Mac / Linux / Chrome |
上で紹介した「Artist22 セカンド」から、解像度や発色性能などが向上したものになります。
ある程度性能も重視しつつ20インチ以上のものを用意したい人におすすめの製品です。
この価格帯の製品であればかなり細かいタッチの絵柄などでない限り仕事でも問題なく使えるでしょう。
性能重視の人向け
製品名 | Wacom Cintiq Pro 24 |
メーカー | Wacom |
サイズ | 23.6インチ |
解像度 | 3840×2160ピクセル(4K) |
価格 | ¥369,827(アームセット 2024.11.19 Amazon) |
対応OS | Windows / Mac |
Wacom(ワコム)はペンタブレットの国内老舗メーカーで、安価な海外メーカーと比べると高価ですが性能は申し分なくプロにも愛用者は多いです。
この液タブは24インチサイズで検討しているのならこれで間違いないといえる製品です。
私が普段仕事で使っているのもこの製品で、プロの中でもこの製品に不満を感じる人は少ないと思います。
タッチ機能ありのモデルとなしのモデルがありますが、タッチ機能は使わない人がほとんどだと思うのでなしのモデルでも十分です。また、この製品は単体だと角度を調整して自立させることができないのでアームスタンドとセットでの購入がおすすめです。
こちらは私がこの製品を使ってイラストを制作した際のメイキング動画になります。
製品名 | Kamvas Pro 24(4K) |
メーカー | HUION |
サイズ | 23.8インチ |
解像度 | 3840×2160ピクセル(4K) |
価格 | ¥159,999(2024.11.19 公式ストア) |
対応OS | Windows / Mac / Linux / Android |
性能を重視したいけどWacomの製品は高価で手が出ないという人もいるかと思います。そういった人はこちらのHUION製品も検討してみると良いでしょう。
こちらも液タブ単体だと角度を調整して自立させることができないため、VESA規格対応のアームスタンドを別途用意することをおすすめします。
製品名 | Artist Pro 24 (Gen2) 4K |
メーカー | XP-PEN |
サイズ | 23.8インチ |
解像度 | 3840×2160ピクセル(4K) |
価格 | ¥199,800(2024.11.19 公式ストア) |
対応OS | Windows / Mac / Linux / Android / Chrome |
こちらは上のKamvas Pro 24(4K)よりも価格は上がりますが、その分発色性能や筆圧レベルが優れている2024年11月に発売されたばかりの製品です。
一番の特徴は筆圧レベルで、これはWacom Cintiq Pro 24を上回る性能になっています。
その他の基本仕様も高い水準にあるので、描き味など細かい部分にこだわらないのであればWacom Cintiq Pro 24の代替候補に十分なり得ると思います。
Wacomの製品であれば多くは家電量販店で実機に触れられるので購入前に一度触ってみることをおすすめします。海外メーカーの製品も店舗数は多くないですが触れる場所はあるので一度調べてみましょう。